登録販売者として働かれている皆様は、「受診勧奨をするべき基準」をお持ちでしょうか。 不調を抱えるお客様に対して、登録販売者は一般用医薬品(OTC)の販売や説明を通じて接しますので、セルフメディケーションの窓口的な役割をはたします。 この役割は登録販売者として重要ですが、時に、重大な疾患が隠れていないか、市販薬で対応不可能ではないかなど、相談応需とともにお客様の状況を判断し、受診勧奨を行うことも登録販売者が担う重要な役割です。今回は、登録販売者が「受診勧奨」を行う際に実践できる内容を考えてみましょう。
日本チェーンドラッグストア協会より、2022年8月に【受診勧奨のガイドライン】が制定されました。このガイドラインには、ドラッグストアが「街の健康ハブステーション」として存在し、セルフメディケーションを実践する場として店舗スタッフの役割が重要であることなどが記載されています。
また、それとともに「咳」「鼻」「下痢」「腰痛」の4つの症状について受診勧奨するべき具体例も掲載されています。登録販売者でまだ確認されてない方や受診勧奨を行うポイントがよくつかめていない方は、参考にしてみると良いかもしれません。
参考:「JACDS版受診勧奨ガイドライン」第1版(2022 年 8 月 1 日制定)
http://jacds.gr.jp/wp-content/uploads/2022/08/jacds_guideline_20220806.pdf
登録販売者が受診勧奨を行う際に最も重要なのは、正確な情報を提供することです。市販薬を求めて来店されたお客様から相談を受けたら、お客様が抱える症状や不調について丁寧に聞き取りをして、その状況を正しく理解します。これらのヒアリングから受診勧奨するべきか、市販薬をおすすめするかを判断します。
市販薬などの場合、医薬品やサプリメントの特性、効果、副作用の知識を十分に持ち、お客様に対して客観的かつ明瞭な説明を行うことが求められます。誤った情報や誤解を招く表現は避け、信頼性のある情報をわかりやすく提供することが大切です。
また、登録販売者は医師ではないので診断はできません。そのため、受診勧奨を行う際は、例えお客様の症状から具体的な病名が思い浮かんでも、医学的な診断や具体的な診断名を伝えることは控えます。余計な不安を煽らないように注意しながら、医師の判断を仰ぐようにアドバイスしましょう。
・薬を服用するのは誰か
・どのような症状があるのか
・いつからその症状を感じ始めたのか
・症状の程度や頻度
・他に服用している薬があるか
・医療機関に行く予定があるか
上記のようなヒアリングからお客様の状況を把握して、適切な情報を提供しましょう。また、現在服用中の薬がある場合や、数種類の市販薬を購入しようと検討されている方には相互作用にも注意が必要ですので、調剤併設店であれば薬剤師と連携することも重要になります。
受診勧奨は、それぞれのお客様の健康状態や状況に合わせて行うものです。よって、相談応需の際にはお客様の状況を目と耳で情報収集することが大切です。
日本チェーンドラッグストア協会の【受診勧奨のガイドライン】でも、「生活者自身が軽い不調と思っていても、その陰に重大な疾患(レッドフラッグ)が隠れている場合がある」と記載がありますので、様々な可能性を排除せず、レッドフラッグサインが見受けられる場合には受診勧奨を行いましょう。
・いつもより激しい頭痛がする
・50歳以上で新たに発症した頭痛や腰痛
・1日以上水分と食事を摂取できていない
・重度の下痢かつ高熱がある
・安静時にも動悸がする
・意識がうすれる、ふらついている
レッドフラッグサインは上記の他にも様々あり、登録販売者はこれらのサインをできるだけ逃さないようにしましょう。また、個別対応でのポイントとして、妊娠や妊娠予定の有無、年齢にも注意が必要です。
医療や健康の知識は常に進化しています。継続的な情報のアップデートを行い、最新の情報に基づいて受診勧奨を行うよう努めるべきです。ですが、自身の範囲を超えるアドバイスや判断を避けることは大切です。お客様の安全と健康を最優先に考え、適切な受診勧奨を行うよう心がけましょう。
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