ドラッグストアは生活必需品や医薬品、化粧品など数多くの商品を取り扱っています。中には高額な商品もあり、サイズ的にも小型の商品も多いので、万引きには注意する必要があります。また、万引きは店舗に損害を与える犯罪行為ですので、見過ごすわけにはいきません。そこで、今回は【登録販売者必見!ドラッグストアの万引き対策】をご紹介します。
警察庁が発表した「令和4年の刑法犯に関する統計資料」によると、近年、万引きの認知件数・検挙件数は減少傾向にあり、直近の令和4年の認知件数が83,598件、検挙件数が58,283件となっています。 しかし、認知件数とは、警察等捜査機関によって犯罪の発生が認知された件数ですので、実際はより多くの万引き被害が発生していると思われます。
また、年齢層別万引き被害品数のデータによると、70~79歳の被害品数が最多となりますが、化粧品の被害品数は20~29歳が最多となり、高齢者の万引き被害は社会問題となっているものの、化粧品も取り扱うドラッグストアにとっては、単に年齢だけで万引き被害の注意を払うべきではないことも伺えます。
参照:[警察庁]令和4年の刑法犯に関する統計資料
https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/R04/r4keihouhantoukeisiryou.pdf
「図表:2-3-3-ウ-1(万引き認知・検挙状況)」
「図表:2-3-3-ウ-3(検挙した事件に係る被疑者の年齢層別万引き被害品数)」
店舗での万引きのよくある犯行例としては、以下のようなことがあります。
・マイバックを利用し、商品の一部または全部を入れる
・商品を手に取り、そのままトイレに持ち込み使用またはカバンなどに入れる
・未精算の商品を精算済み商品のように持ち去る
・スタッフがレジに入っている隙に、防犯ブザーが鳴る高額商品を持ち去る
・複数人での連携した計画的犯行
万引き犯は店舗の環境や防犯に対する意識、スタッフの様子を伺いながら犯行に及んでいると思われますので、万引き被害を減らすには、登録販売者などのスタッフは常に防犯意識を持ち業務に従事する必要があるでしょう。
スタッフによる「挨拶や声かけ」は有効な防犯対策です。お客様がご来店の際には「いらっしゃいませ」の挨拶や、多くの商品をカゴに入れているお客様には「レジでお預かりしましょうか?」などの声かけは、接客の向上だけでなく、防犯にもつながります。
比較的店内が空いている時間帯やレジが空いている時間などは、店内を巡回することで防犯につながります。商品の戻しや補充、前出し作業と並行して店内を巡回し、万引きしづらい環境を作りましょう。
不審に感じるような行動をするお客様がいる場合、その行動を観察しましょう。目線、行動、袋の膨らみの違いなど、その時は防犯につながらなくとも、防犯カメラで確認し、万引きをしていた場合にはスタッフ間や店舗間で情報を共有しましょう。万引きは再犯率が高い傾向にありますので、再犯防止につながります。
「盗みは犯罪です」といった警告看板や、「防犯カメラ録画中」といった表示を、店舗内各所、商品や医薬品の棚や値札の位置辺りに掲示することで、店内の防犯意識を示すことができます。日本チェーンドラッグストア協会により、活用可能な「万引き防止のための表示ツール」が掲載されていますので、ご参考ください。
参照:[日本チェーンドラッグストア協会]JACDS会報誌 vol.218
https://jacds.gr.jp/pdf_association_report/No218_all.pdf
「P10~13(万引き防止のための表示ツール)」
万引きされやすい高額商品や医薬品は、空箱などの見本品を利用しましょう。商品をレジで直接受け渡しにすることにより、万引きの被害を減らすことができます。
レジは最もスタッフが立っている時間が多い場所です。レジに立っている時や、会計中でも店内に目を配ることができるよう、レジ周りは極力障害物を避け、店内を見渡せるようにしましょう。レジ周りのPOPや特設棚等も「高さ」を意識し、レジからの視界を遮らないようにすることで防犯対策になります。
万引き被害を防ぐには、防犯ゲートやタグ、防犯カメラの設置、店内放送、警備員や保安員による警戒など、企業が行うべき防犯対策も必要ですが、現場に立つ登録販売者が防犯意識を持つことによりできる防犯対策もあります。万引き犯を捕まえることはリスクや危険も伴いますので、防犯意識のある行動をとり、未然に万引きを防ぎましょう。
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