「登録販売者?薬剤師との違いって何なの?」と聞かれた事がある登録販売者は多いかと思います。登録販売者は比較的新しい資格のため、まだ認知度は高いとは言えません。登録販売者も薬の専門家であることを、どう答えればお客様や周囲に理解してもらえるでしょうか?今回は、「登録販売者と薬剤師の違い」を明らかにして、分かりやすく伝わるベスト回答をお伝えしたいと思います。
以前、医薬品販売が可能な資格は、「薬剤師」と「薬種商」のみでした。「薬種商」に替わって、「新たに医薬品を販売できる専門職=販売従事者」として、改正薬事法(現薬機法)において「登録販売者制度」が新設されました。
そして、この登録販売者の誕生により、社会に2つの大きな変化がもたらされました。
【1】医薬品のリスクに応じて専門家が関わり、適切な情報提供ができる機会が拡大した
医薬品の取り扱いに制限はあるものの、薬剤師以外でも一般用医薬品を販売できる新たな専門職として登録販売者が誕生しました。国は医療費を抑制するための政策の一つとしてセルフメディケーションを推進していますが、消費者は自身の健康管理やセルフケアのために、薬について登録販売者に相談できる機会が増え、一般用医薬品がより身近なものとなりました。
【2】コンビニエンスストアやホームセンターなど小売店での医薬品販売が開始された
登録販売者を採用することで、薬局やドラッグストア以外でも一般用医薬品の販売を本格的に行うようになり、人々は自宅や職場などに近い場所で医薬品を購入しやすくなりました。
このように、登録販売者は「薬の販売従事者」として、社会に貢献する役割が期待されているといえます。
ご承知のとおり、登録販売者になるには、2015年登録販売者制度の改正により受験資格条件が緩和され、学歴不問となりました。そして、この新制度導入以降資格を得るには、都道府県が行う登録販売者試験合格後、さらに「売り場等での実務経験(過去5年以内に通算2年以上)」が必要です。
登録販売者試験に合格しても、実務経験の要件を満たすまでは研修中とみなされ、薬剤師または登録販売者(店舗管理者・管理代行者の要件を満たした者)の管理および指導のもとでしか、医薬品の販売が許されません。試験合格のみならず、さらに知識と経験の蓄積を求められるということです。
対して、薬剤師になるには、2012年以降原則として6年制の薬剤師養成課程を卒業することで、薬剤師国家試験の受験資格が得られます。その後、厚生労働省が行う薬剤師国家試験に合格し、免許申請・登録手続することで薬剤師免許が得られます。このように、受験資格が違い、試験合格後に実務経験の要否が問われるかの違いがあります。
薬剤師と登録販売者では、販売できる医薬品が異なります。医師が出した処方箋を元に処方する医療用医薬品は、調剤ができる薬剤師しか扱う事ができません。また、ドラッグストア等の店頭に並んでいる処方せんがなくても買えるお薬「一般用医薬品(OTC医薬品)」にも、扱いに違いがあります。
一般用医薬品は、副作用のリスク等を鑑みて、以下3種類に分かれています。
【第1類医薬品】
最も副作用が生じる恐れが高い医薬品
【第2類医薬品】
日常生活に支障が出るほどの副作用の恐れがある医薬品
【第3類医薬品】
体調不良を起こすおそれのある成分が含まれるものの、服用者の日常生活に支障をきたすほどの危険はないとされる医薬品
薬剤師は、上記3点すべての一般用医薬品を販売することができます。対して、登録販売者は第1類医薬品を販売することはできませんが、第2類医薬品と第3類医薬品は販売できます。そして、一般用医薬品の約9割が第2類医薬品と第3類医薬品であるため、登録販売者は店舗にあるほとんどの医薬品を販売することができると言えます。
登録販売者と薬剤師の業務内容の大きな違いは、薬剤師だけが調剤ができるということです。薬剤師の業務は、調剤及び調剤時の服薬指導や情報提供、一般用医薬品に関する相談対応が主となります。
登録販売者の業務は、勤務先によって差はありますが、大変多岐にわたります。登録販売者の資格を活かした医薬品の取扱いだけではなく、職場でオールラウンドに対応することが求められるからです。
例えば、一番就業される方が多いドラッグストアでは、お客様のご相談対応や医薬品の販売に加えて、日々の店舗業務全般(商品の品出し・陳列、在庫管理や発注、レジ打ち)も担当します。また、接客の際、医薬品以外の日用品・化粧品・健康食品等の知識も必要となってきます。
以上、3つの違いを鑑みて、お客様や周囲が理解しやすい回答としては、「薬剤師も登録販売者もお薬の専門家ですが、取り扱いできる医薬品に違いがあります。第1類医薬品という一部のお薬は、薬剤師がいない時間帯は販売ができませんが、店舗にあるほとんどの一般用医薬品について、安全に使用していただけるよう登録販売者がご説明をすることができます。お困りのことがあればお気軽にご相談ください」などとお話し、お薬を検討されているお客様に登録販売者がお手伝いできることを伝えるとよいですね。
身近な場所にあるドラッグストアやコンビニエンスストアなどお客様の一番近くで、医薬品販売における接客のプロとして活躍しているのが、登録販売者です。お客様の健康管理や健康維持にも貢献できる機会も多く、これからも人々の役に立ち続けるお仕事として、認知度もさらに上がっていくことでしょう。
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