2023年改正の登録販売者の管理者要件について／実務経験が2年から1年に短縮！追加的な研修とは？

登録販売者の管理者要件の2023年改正ポイント

実務経験の期間が「2年」から「1年」へ

登録販売者の管理者要件とは、登録販売者がドラッグストアなどの店舗管理者になるために必要な要件のことです。現在、実務経験がなくても登録販売者試験を受けて資格を取ることはできますが、実務経験などの管理者要件を満たさないと、研修中の登録販売者として医薬品を一人で販売することはできず、薬剤師もしくは管理者要件を満たす登録販売者の監視下のもとで販売しなければなりません。

2023年の管理者要件の主な改正点は、実務経験の期間が2年から1年に短縮されたこと、新たな研修（追加的な研修）を修了することが条件になったことです。この改正により、管理者要件を満たす条件が、以下の【1】に加えて、【2】【3】の2つが増えました。

【登録販売者が管理者要件を満たす条件】
1、「過去5年間のうち従事期間が通算2年(1,920時間)以上」
2、「過去5年間のうち従事期間が通算1年(1,920時間)以上」かつ「従来の外部研修(継続的研修)」かつ「追加的な研修」
3、「過去5年間のうち従事期間が通算1年(1,920時間)以上」かつ「店舗管理者等の業務経験」

今での制度では、例えば正社員であれば実務経験の1,920時間は1年でクリアできますが、その場合でも2年以上の従事期間がないことで管理者要件を満たせませんでした。実務経験年数が1年に短縮されたことで、勤務時間が多い正社員・パートでは、管理者要件を満たす登録販売者が増えることになります。

追加的な研修とは

2023年の改正で実務経験期間の引き下げに伴い登録販売者の経験値が減ってしまうリスクへの対処として、新たな研修体制（追加的な研修）が作られました。 毎年受講が義務づけられていた従来の外部研修(継続的研修)に加えて、この追加的な研修を修了することも管理者要件を満たす条件となります。

追加的な研修の研修内容は、ガバナンス・法規・コンプライアンス等の基本的知識に関する講義、販売現場でのコミュニケーションに関する演習、ケーススタディなどになります。 対面だけでなくオンラインでの受講もできますが、オンラインの場合はリアルタイムの開催のみが認められています。時間数は6時間以上の受講が必要です。 ケーススタディとして、受講者が参加型でディスカッションを行う学習が組み込まれているのも一つの特徴です。店舗販売業者・配置販売業者以外の第三者が実施する研修とされています。

登録販売者が管理者要件を満たすメリットとは

2023年の改正によって、勤務時間が多い正社員やパートとして働く登録販売者は、管理者要件が満たしやすくなりました。 管理者要件を満たすことで、登録販売者によってどういったメリットがあるのかについてご紹介します。

店舗管理者になれて業務の幅が広がる

登録販売者が管理者要件を満たすと、管理者の監視下以外でも第2類・第3類医薬品の販売ができます。 そして、ドラッグストアなどの店舗の責任者である店舗管理者として働くことができるようになります。

店舗管理者になると、販売業務だけでなく、シフト管理、在庫管理、売上げ管理などの店舗運営に直接関わる業務の担当が増えます。 より責任の大きい仕事になりますが、やりがいにもつながりますし、登録販売者としての市場価値を高めることもできます。

キャリアアップ・給与アップにつながる

登録販売者が働くドラッグストアなどの企業の多くでは、店舗管理者になると新たに手当が支給されます。 手当の金額は企業によって異なりますが、月1~2万円程度が支給されることが多く、年収アップにつながります。

また、管理者要件を満たせば、店舗管理者だけでなく、本人の実績によってエリアマネージャーや本部職への異動の可能性もあり、キャリアパスが広がることになります。