現代の日本社会は超高齢化社会となり、登録販売者は、一般用医薬品の販売などを通して高齢のお客さまと接する機会も多くなります。普段から医薬品販売の際にはさまざまな点に注意を払っていると思いますが、高齢者には特に注意を払うべきポイントや接客方法があります。今回は、【登録販売者の高齢者の対応におけるポイント】について解説します。
高齢になると、内臓の機能が低下して薬の代謝・排泄が遅くなるため、副作用が強く現れるおそれがあります。また、慢性の病気や複数の病気を抱えて、多くの種類の薬を服用しているケースもありますので、ポリファーマシー(※)などには注意が必要です。
(※)ポリファーマシーとは
多剤服用の中でも害をなすものを特にポリファーマシーと呼ぶ。単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連した薬物有害事象のリスクの増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態のこと。
また、健康意識の向上から、サプリメントなどの栄養補助食品を摂取している場合もあるため、しっかりとした聞き取りが重要です。
参照:高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編)
P4 図1 同一の保険薬局で調剤された薬剤種類数(/月)の推移
https://www.pmda.go.jp/files/000229948.pdf
医療用医薬品を処方されていれば、医師や薬剤師から薬についての注意点は説明されていると思いますが、以下の【相互作用】の箇所に記載したような医薬品や健康食品を購入しようとしている高齢者や介護者がいる場合は、念のため、現在服用している薬の確認をした方がよいでしょう。
多くの医薬品で、添付文書の「相談すること」の欄に「高齢者」と記載があります。これは、代謝や排泄機能等の問題で薬の影響を受けやすいため、用法や用量に注意が必要だからです。
例えば、睡眠補助薬などの抗ヒスタミン薬には、抗コリン作用があるものもあり、高齢者は抗ヒスタミン作用によるめまい、鎮静等の精神症状及び抗コリン作用による口渇等があらわれやすいです。
また、健康食品に関しても医療用医薬品と相互作用を起こすことがありますので、下記に例をご紹介します。
下記の例は高齢者が服用する可能性のある医薬品や商品例であり、全ての方に注意が必要な相互作用です。
・痛み止め(内服薬)←→ 総合感冒薬、解熱鎮痛薬
(解熱鎮痛成分の重複により、作用増強や副作用がでやすくなる)
・アレルギー用薬(内服薬)←→ 総合感冒薬、鼻炎薬、咳止め薬など
(抗ヒスタミン薬などの重複により、副作用で眠気が強くでやすい)
・ワルファリン ←→ イチョウ葉エキス
(出血のリスク増加)
・ワルファリン ←→ 青汁、クロレラ
(ビタミンKを多く含有することによりワルファリンの作用減弱)
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)←→ セントジョーンズワート(セロトニン症候群のリスク増加)
高齢者は、嚥下機能の低下により誤嚥しやすくなります。薬の飲みにくさはストレスを与え、アドヒアランス不良にもつながります。薬によってはOD錠などもありますが、そうでない場合はオブラートや服薬補助ゼリー、とろみ剤などが有効です。
ただし、とろみ剤は濃すぎると胃に届くまでの時間がかかり、食道に留まった薬は効果を発揮しにくい上に、食道への張り付きを招く可能性もあるため注意が必要です。
認知症や記憶力の低下だけでなく、複数の薬を服用することにより管理が難しい場合もあります。その場合は、服薬管理ケースや服薬カレンダーを利用することにより、薬の飲み忘れ防止や薬を飲んだかの確認ができます。
相談応需の際、基本的に専門用語は避けるべきですが、高齢の方には特にわかりやすく、簡潔にご説明するよう心がけましょう。どういう薬なのか、用法・用量などについて、手振り身振りを交えるとより伝わりやすいでしょう。
高齢者への接客は「急かさない」ことも重要です。商品案内の際は急かさず、高齢者の方にペースを合わせてご案内した方がよいでしょう。商品までの距離が遠い場合などは、こちらが商品をピックアップした方がお互いにとってよい場合もあります。お客様の安全を考えた行動をとり、接客の際には、ゆっくりはっきりとコミュニケーションをとりましょう。
高齢者は加齢に伴い、嚥下機能や視力の低下、指先の力の衰えなどから服薬が難しくなります。登録販売者としては、薬についてのご説明や他の薬剤やサプリメント等の使用確認のほか、服薬に役立つアイテムのご紹介などもお役に立てます。また、医薬品やサプリメントを販売する際は、いつも以上に細かな点に注意を払い、高齢のお客さまの健康維持に貢献しましょう。
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